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【ラクレタ対談】
これからのPR業界と目指す未来  – 前編 –

今後の未来を切り拓くために、さまざまな業界の過去を振り返り、現在を見つめ直す対談企画です。

第1弾は、「これからのPR業界と目指す未来-前編-」と題し、PRの意義や目的、時事問題に絡めたPR事例などをご紹介しています。

PRやマーケティングに初心者の方から、知識が豊富な方まで幅広くお読みいただける内容にしておりますのでお気軽にご覧ください。

■この記事について

  • 読了目安:5分
  • ページ数:1ページ

■本記事のサマリー

  • PRとは「コミュニケーション」という手段を活用した社会と企業を繋ぐための活動
  • 世の中の社会課題に対しての企業活動として広告では違和感があることもPRであれば世の中に伝わる
  • 企業はパーパス経営を推進していくだけでなく、社会に対して積極的に発言をしていくことも重要

■対談者プロフィール

株式会社ラ・クレタ代表取締役 / アソビバ合同会社CEO
前田 圭介

19歳(01年)で渡伊、サッカーリーグ・セリエDでプレー後、サニーサイドアップ、博報堂プロダクツ、インテグレートにて、PR・広告・マーケティングを担当。オランダ、イギリス、イスラエル、シンガポール、アメリカでの業務経験がある。主な実績に、NTT docomo、docomo Healthcare、Genesis Healthcare、PHILIPS、Panasonic、Amazon、楽天、OrCamなど。2012年に株式会社ラ・クレタ、2019年にアソビバ合同会社を設立。

アソビバ合同会社 ディレクター
山中 雄介

プラップジャパンとオグルヴィPRで主に外資系企業のマーケティングPR、コーポレートコミュニケーションに従事。またインターブランドでは日系企業のブランディングにも携わる。シェアサイクル企業ofoの日本市場参入時にはPRマネージャーも務めた。2020年よりアソビバ合同会社に参画。


「PR」って正直どんな仕事なのか漠然としています。PRを一言で言うと何になりますか?

山中
「PRといえば、メディアとのリレーションやパブリシティと思われがちですよね。でも、単純にメディアに露出することは、ゴールに至る手段でしかない。

企業に限らず団体でも個人でも、何らかの課題や目的があると思うんです。

僕は『自分達の活動のゴールを、コミュニケーションという手段で達成する』のがPRだと思います」


前田
「PRはあくまで『発信する方法』なんです。じゃあ何を発信するのか? という中身の話では、抽象的ですけど『社会と企業をつなぐための活動』ですね。世の中の課題を企業が意図的に可視化していくことが必要だと思っています」

──わかりやすいPR事例には、どんなものがありますか?


前田
「海外の事例ですが、いま(2021年8月末時点)アフガニスタンでタリバン政権が国を制圧して難民が大量発生しています。そんな中、民泊仲介サービスのAirbnbが『アフガニスタンの難民に部屋を提供します』という発表をしました。

これって『ザ・PR』なんですよ。

米民泊Airbnb、アフガン難民2万人に無料で住宅一時提供へ

たとえばテレビCMやスマホのWeb広告で『Airbnbがアフガニスタンの難民に部屋を貸します』とやっても「え? そんな広告出すの?」という反応になってしまう。

でも、PRなら『アフガニスタンの難民に部屋を提供します』と発信して「あ、なるほど!」と思ってもらえるんですよ。

世の中の社会課題に対して直結して解決するようなソリューションって、なかなか『PRとしては成立しづらい』という部分が多いのですが、Airbnbは本当に上手いなと思いましたね。

だから、特にスタートアップ企業や、デジタルソリューションサービスは、PRに向いているなと僕は思います。そういう企業こそ、統合PR視点でやると一気に伸びるんじゃないのかな」


山中
「同じ社会課題という点では、アメリカにおける新型コロナのワクチン接種対策の事例があります。アメリカではワクチン接種率に格差が出ていて、ワシントンのDesautel Hegeという総合コミュニケーションエージェンシーが、保健当局などと連携しながら問題を分析したところ『英語があまり得意じゃない』『文化的な背景が違う』というコミュニティの存在が見えてきました。

というのも、ワシントンでは人種・文化的なマイノリティや性的マイノリティ(LGBTQ+)の方々が約40%にものぼるんです。アジア系やヒスパニック系はまさしくその中に入ります。つまり、言語的な問題でワクチンに対する正しい情報を得ていなかったり、文化的な観点から理解が得られていないため『そこをなんとかしないとワクチンの接種が進まない』という課題が特定できたんです。

なので、言語的、文化的なハードルを越えたアプローチをするため、多言語、地域メディアでの発信や、地域活動グループを通した啓蒙で、ワクチン接種を推進したPR事例がありました。これってすごく『今の時代らしい』と思いましたね」

PR業界で、コロナ前と後で大きく変わった点はありますか?

山中
「アソビバ(※ラクレタ100%出資会社の国際コミュニケーションを専門とする代理店)は、IPREXという独立系PR会社のグローバルネットワークに参加していて、アジア太平洋地域の会議にも毎月出席しています。

その国際目線で話をすると、コロナ禍の困難に立ち向かうため、社会全体が『どうするべき・どうあるべき』かが目下の課題になっています。

いま社会にそのブランドがなぜ必要なのか、その企業が何ができるのか。「パーパス経営」が話題ですが、まさしく存在意義が問われている。一企業、ブランドの目線でなく、より社会的な目線で活動して行く、メッセージを伝えていくことが求められています」


前田
「国内でも、前は右倣えでやれば良かったところがありましたが、これからは、より企業の自主性や自己判断、声をあげていく姿勢が求められていると思います。

たとえば、オリンピック開催の是非で、アスリートのSNSに誹謗中傷が寄せられたケースでは、TOYOTAなどのスポンサー企業が率先して『アスリートを支える』と声をあげました。

今までなら、企業はそういうことを言わなかったと思うんですよ。でも、少しずつ企業と社会との関係性に変化が見え始めています。

当たり前のことですが『言ってることとやってることがちゃんとしている』という姿勢が見えると、非常に賛同を得やすいのかなと思います」


山中
「日本の企業やブランドって、今までは声をあげるのが得意じゃなかったと思うんですよ。

『炎上するかも』とか『業界でよく思われないかも』と減点主義で考えて、結果『黙る』という選択をしてきたのですが、それがだんだん変わってきた。というより、変わらざるを得なくなってきましたね」

──社会に合わせた変化ですね。では…

 

 と、対談も盛り上がってきたところで今回はここまで。

次回<後編>では、PRの本質的な機能「社会と企業のブリッヂ」はデジタル時代にどのような新しい価値を提供していくのか、”これからのPRの価値”について、議論が前に進みます。

ぜひ、次回もお楽しみに!


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