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実践編|広報・PRの効果測定〜「現在地」を知る〜

企業の広報PRでは、社内の他部門やステークホルダーに対して、理解しやすい形で広報PRの効果を説明することに困難を感じている人は少なくありません。

実際に、経済広報センターの「第12回企業の広報活動に関する意識実態調査」によると、広報担当者の悩みとして「広報活動の効果測定が難しい」が72.7%と最多となっています。

また、「広報の人員が少ない」「広報のための予算が少ない」といった悩みも多く、原因として、社内の他部門から広報活動に対する理解が十分に得られていない点が考えられます。

そのような状況において、広報PRの効果測定はより一層必要なものとなるでしょう。

ところが、広報PRの効果測定を始めるにあたり、最初の準備が不十分だったために正しく効果を測定できない事例も散見されます。

この記事では、実践的な効果測定の始め方について、当社の具体的な事例を織り交ぜながら分かりやすく解説していきます。

■この記事について

  • 読了目安:7分
  • ページ数:1ページ

■本記事のサマリー

  1. 広報PRの効果を知るにはアウトカム指標を把握するべき。
  2. 「現状分析」と「自己診断」を導入することで、企業の広報PR部門における現時点の「施策の課題」と「業務の課題」の両方が明らかになる。

広報PRの効果測定に必要な指標とは

広報PRの効果測定では、より本質的な指標を採用しなければ、現状を正しく捉えることができません。

これはどういうことかというと、KGI(大きな目標)とKPI(小さな目標)を設定するにあたり、表面的な数字よりも、より本質的な数字を計測すべきということです。

たとえば、「会社の認知度を○%アップさせる」というKGIに対して、KPIとして設定できる指標には以下のようなものがあります。

・行動指標:プレスリリースを毎月○件配信

・アウトプット指標:取材申し込み件数・メディア掲載件数

・アウトカム指標:SNSでのエンゲージメント数、サイト流入数、指名検索数

この中で、最も計測しやすいのは行動指標ですね。

ですが、プレスリリースを何件配信したところで、実際に取材やメディア掲載に至らなければ、「効果があった」とは言えません。

また、メディア掲載に至った場合でも、メディアを見た消費者からSNSで好意的な反応が得られなかったり、自社サイトへの流入に繋がらなかったりするなら、やはり「効果があった」とは言えないでしょう。

つまり、広報PRの効果を測定するためには、行動指標・アウトプット指標だけでなく、アウトカム指標の把握が重要なのです。

そして、「PRのメリット、デメリットとは?広告とは違う特性を解説」でも紹介したように、広報PRをデジタルで始めることで、アウトカム指標が格段に計測しやすくなります。

次章から、当社が実践している内容を、具体的に解説していきます。

デジタル広報PRに欠かせない「現状分析」

広報PRをデジタルで始めるなら、効果測定のためには最初の「現状分析」が重要になります。

なぜなら、自社の「現在地」を数字で計測しないまま施策を行なうと、ビフォーアフターの変化が把握できず、どこまでが施策の効果なのかを正しく評価できなくなるからです。

また、自社だけでなく競合他社の現状分析を行うことで、自社の広報戦略が立てやすくなるメリットもあります。

当社では、クライアント企業に対してウェブサイト分析を実施し、独自レポートを作成しています。

【画像1_分析結果イメージ】

独自レポートで分かる情報は、以下のような内容です。

・競合企業はどんなウェブマーケティングやPR施策を行っているか

・自社にとって最も影響力のあるメディアはどこか

・貴社サイトを訪れたユーザーは、どの競合企業のサイトを併読しているか など

レポートでは、自社だけでなく競合他社も合わせて比較することによって、クライアント自身の広報・マーケティング領域の立ち位置や課題を可視化できます。

これまで当社で分析した企業の傾向を平均値でみると、約6割のクライアントで「外部ウェブサイトからの流入導線づくり」に課題が見つかりました。

参考に、エネルギー関連企業A社の事例を紹介します。

事例:エネルギー関連企業の流入導線を改善

エネルギー関連企業A社からの相談を受け、当社がウェブサイト分析を実施しました。

すると、Googleなどの検索結果からの流入が70%以上を占め、外部サイトからの流入はわずか数%という状況が明らかに。

結果として、新規の見込み顧客に対する情報発信が不足していることが分かりました。

対して、競合であるB社のウェブサイトは、検索結果からの流入は18%と低いものの、テクノロジー関連メディアをはじめ様々な外部メディアからの流入が全体の24%あることが分かりました。

加えて、B社はリスティング広告を使って検索結果よりも上位に自社サイトを表示させ、検索ユーザーをいち早く自社サイトに誘導していることも判明。

こうした現状を踏まえて、A社では競合サイトへの流入が特に多かったサービス比較メディアへの情報露出を手始めに、タッチポイントとなるメディアを複数選定し、戦略的なメディア露出を展開していくことになりました。

この結果、A社の外部流入が当社が関わる以前と比べて20%以上改善しました。

広報PR部門の「自己診断」で課題を可視化

当社では、今後の広報PR活動をレベルアップさせるため、クライアント企業の広報部門の「自己診断」にも取り組みます。

そうすることで、たとえば「ステークホルダーへの情報提供が不足していた」「社内広報の効果測定ができていなかった」といった、これまでなんとなく感じていた広報業務の課題の可視化につながるのです。

広報部門の「自己診断」は、目の前の広報PR施策だけでなく、長期的な広報PR業務の改善につながります。より効率的に業務を進めるために、ぜひ採用して欲しい取り組みです。

「自己診断」シートのチェック分野は以下の5つです。

1:情報収集力+分析力

自社・業界・競合に対するメディアの評判や、ステークホルダーの動静について収集・把握する能力。

収集した情報をもとに、自社の経営課題・広報課題を洞察する力と、それを組織的に共有する力。

2:戦略構築力

経営課題に対応する広報戦略の構築と、ステークホルダー別の目標管理、見直しを組織的に実行する能力。

3:情報想像力

ステークホルダーの認知・理解・共感を得るために、メディア特性に合わせたメッセージやビジュアルなどを開発する能力。

4:情報発信力(デジタル活用)

マスメディアや自社メディア、ソーシャルメディアなどさまざまな情報発信手法を複合的にタイムリーに駆使する能力。

5:関係構築力

重要なステークホルダーと、相互の理解・信頼関係を恒常的に高めるための活動と、実行する組織能力。

【自己診断シート】

分野ごとに、さらに詳しい5つの質問に答えることで、自社の広報PR業務において改善すべき点や取り組むべき施策の優先順位を決定できるようになります。

「現状分析」「自己診断」の3つのメリット

これまで説明してきた「現状分析」「自己診断」を行うことで、広報PR部門が得られるメリットを3つ紹介します。

まず、広報・PR視点で今後の重点メディアを決定できるようになります。

これは、自社および競合他社の「現状分析」によって、自社にとって最も影響力のあるメディアや、市場全体に影響力を持つメディアを可視化できるからです。

次に、ウェブマーケティングのPDCAの見直しができるようになります。

これは、「現状分析」によって自社および競合他社のマーケティング施策が明らかになったことで、これまで自社で行ってきたマーケティング施策のうち、他社より効果が劣る施策をストップしたり、別の施策にチェンジしたりできるからです。

最後に、診断結果を今後の広報PR活動へ応用できるようになります。

これは、「自己診断」を現在の広報PR活動と照らし合わせることで、情報発信手段の選択や、ステークホルダーに向けた企業全体の広報PR戦略など、長期的な広報PR業務の改善に役立てられるからです。

以上のように、当社独自の「現状分析」と「自己診断」を導入することで、企業の広報PR部門における現時点の「施策の課題」と「業務の課題」の両方が明らかになります。

この課題を、広報PRとしてどう改善していくかというアクションに対して、効果を測定することになります。

つまり、広報PRの効果を社内外に説明するためには、まず「現在地」を把握してから効果測定を始めることが大切なのです。


いかがでしたでしょうか? 多くの企業広報は「アウトプット指標」をKPIに定め、メディアでの露出獲得や取材件数などを追いかけています。これらは確かに重要な指標であり、社内外で影響力を出していくためには必要な成果です。

ですが、それだけでは十分ではありません。最終的に、どれくらいのユーザーがサイトを訪問したのか(認知から興味理解への引き上げ)、リピーターやロイヤルカスタマーと呼ばれる顧客をどれくらい育成、獲得できたのか(興味を持続させられているか)、ユーザーが純粋想起できるブランドポジションを確立できているか(Evoked Set)、など複合的に見ていくことが重要です。

弊社はtoB、toC問わず、デジタルを起点としたPRに強みがあり、ブランディングと販促の双方に効果をつなげる、統合PRソリューションを提供しています。

現在、「PR × デジタル診断 for Integrated PR Tech」というサイト分析とデジタルコンテンツPRをパッケージ化した新しいサービスをご案内しており、今回の記事で取り上げました広報PRの「現状把握(サイト分析&自己診断)」と「最適な情報発信」を体現したソリューションとなっております。

ぜひ下記よりお気軽にお問い合わせください。簡易分析を無料でおこなうトライアルもございます。

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